アロマヘッドヒーリング® マインド・ハート・スピリット

振り回されるのが たまらなかった あの頃

「こら! また落として!! ダメよー」

ジジは、小さな置物やヒラヒラした紙などが 特に好物で、棚やテーブルに小さな置物やペン、紙などがあると 片っ端から床に手で落とした。特に忙しくてかまってあげられないと、この行動は頻繁になった。

「ジジ!!」

「びみゃ~あ」

ジジは、叱られると 一旦は逃げるが、ほとぼりが冷めた頃に 視界に入るように前に立ち、かまってもらえるよう アピールしてきた。

ひょんなことから、私たちのもとへやってきた ダミ声の黒い子猫は、どっかで飼われていたようで 最初の出会いから人懐っこく甘えた。しかし、家族以外には とても臆病で、特に大人の男性には 強い恐怖心を持っていた。
野良ではあったが、トイレの躾が出来ていて、失敗しなかったことには救われた。
子どもたちに アニメ映画「魔女の宅急便」に出てくる黒猫の名前をそのままとって ジジ と名づけられた。

それからは、全てがジジ中心の家庭になった。

一人親の私の仕事は、夜遅くなることが多い上に休みも少なく、二人の子供たちには 寂しい想いをさせてばかりだったが、寂しさを埋めてくれる以上に 振り回される存在となった。

「ジジ」と呼べば、必ず「びみゃ~あ」と 大きなダミ声で返事をした。
ふざけて何度も呼ぶと、面倒くさそうに 返事の代わりに長い尻尾を振った。

勉強している子供たちの 本やノートの上に後ろ向きに座り、長い尻尾を動かし、書き込みが出来ないようにした。

わざと本や新聞の上にドスンと横になり、ページをめくるとじゃれて、紙面を破ることもしばしばだった。

また、ノートパソコンを開くと、キーボードやマウスの上に寝そべった。

「もう!」

と言いながら、抱きかかえて 横にどかしてもまた乗ってきた。

それから2年後、転勤で のどかな地方都市から市街地に引越しすることになった。

ジジにとって 初めての引越しは、長時間のドライブ と 見知らぬ男性が家の中に入ってきて作業されること での恐怖の一日となった。
搬入が終わり、引越し業者が引き上げてからも ジジはクローゼットの隅に身を隠した。名前を呼んでもずっと返事もせず 気配までも隠した。
数時間が経ち、やっと落ち着くと、恐る恐る出てきて、縄張りとなる部屋の中をくまなく探検し 把握した。

しかし、新しい環境へのストレスは大きかったようで、ジジは 数日後に尿が出なくなり お腹が膨れて、死にそうになった。病院に連れて行くと、尿管結石と診断され、しばらく入院した。

入院中は、またストレスがかかったようで、肺炎にかかり 入院が長引いた。
その間、病院の女性スタッフの方が 「ジジちゃん」と呼ぶと、必ず返事をするので、たくさん声かけしてもらったようだった。

その後 ジジは、何度か大きなストレスとなる引越しを経験したが、ダメージの大きくなる前に対処でき、入院するまでには至らずに過ごせた。
体重は、いつの間にか6㎏になっていた。

ジジは、度々 思いもよらない隙間に寝ていた。
小物入れの中、クローゼットの引出しや たたんだ布団の隙間、洗面台の上 ……
さまざまなポイントに、体がはみ出しても構わず寝た。
取り込んだ洗濯物や 布団の上に、 ちょっと目を離すと、たたむ前に寝ていた。おひさまの温もりは好物だった。

そして、ますます 自分の要望の全ては 家族が叶えてくれてあたりまえと思っているようだった。

蛇口から流れ出る水が好物で、必ず水を出すまで鳴き続けた。
水が出ると、ちょっとしか飲まず 直ぐにその場を離れた。それを1日の内に何度もやらされた。

おしっこが終わると、毎回 興奮して部屋中を駆け巡り、ソファがボロボロになった。それに 網戸に登って破くので、しょっちゅう張り替えなければならなかった。

深夜になると 早く寝ようと猛アピールし 私を誘いにきた。
私が床につくと、胸の上の掛け布団を、前足の爪を立ててモミモミした。その後、私の枕を占領し、時には首や胸の上に乗って寝た。
私は、ジジの重みで熟睡できなかった。四十肩になったこともあった。また、布団は直ぐにボロボロになるので、大好きな羽毛布団なんて使えたもんではなかった。

明け方になると お腹が空いたと起こしに来た。こちらがなかなか起きないと、心臓発作を起こしそうになるほどの衝撃で ベットサイドの高い棚から、胸にダイブされた。
いろんな不自由を沢山被られたが、わがままぶりさえも たまらなかった。

私の帰宅時は、マンションのエレベータ―を降りた途端 足音を聞き分け、いつも玄関の外から聞こえる位 大きなダミ声で鳴きながら待っていた。そして、中に入ると転びそうになる程 足に絡まりながら、頭と体をスリスリとこすりつけてきた。

誰かがソファに座ると、その音を聞きつけ、直ぐに膝の上にのって、グルグルと喉を鳴らした。この音と 膝の上の温かく柔らかい感触は、みんな心底癒された。
さらに、心身がつかれている時には、まるで全てわかっているかのように寄り添ってくれた。

17歳になったジジは、ついに手の施しようがなくなった。
この世を去る前の数日間は、なぜか玄関の土間に寝たがった。体が冷えないように 下にクッションや毛布などを敷き、ジジをその上に寝かせた。

やせ細り グルグルと喉を鳴らすことも、返事もできなくなってからは、なるべく最後の時間を一緒に過ごすようにした。今までの出来事が走馬灯のように頭の中を巡り、キリがなく涙があふれた。

静かな玄関にいると カラスの鳴き声や、近所の人の生活音など 外の音が聞こえてくる。夕方、外が暗くなりだすと 切なくなった。ここで 毎日帰りを待っていてくれていたのだと思うと、また涙が出てきた。

「ごめんね。さみしい想いをさせて。
みんなを愛してくれたね。こんなに頑張ってくれたから、もう苦しまなくてもいいよ。
ありがとう」
私は、だんだん冷たくなるジジの体を撫でながら、話しかけた。

ジジは 一瞬苦しそうに体をくねらせ、そのまま息を引き取った

あれから数年が経った。

寝具は、羽根布団に変えた。

たまに、テーブルや棚の紙などがヒラヒラと落ちることがあると、笑える。

あの温かく柔らかい身体と毛の感触は、今でもたまらなく愛おしい。

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高松 春后 Haruko Takamatsu

トータルアロマプロデューサー
アロマヘッドヒーリング®ファウンダー
垣根を超えた個性あふれるセラピストのグループ セラピストアワーズ 発起人
エアアロマジャパン セールスパートナー
日本アロマコーディネーター協会 認定加盟校
シデスコインターナショナル ライセンス
放送大学 生命科学 エキスパート


30年以上、エステやアロマ業界で人の癒しや教育、サロン運営を続ける。
主催するスクールや九州、関東、北海道で、多くの失敗や経験から学びまとめた、
頭(脳)を癒す究極のメソッド、アロマヘッドヒーリング®を中心としたセミナーを行う。

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